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6/26 新刊 【兎虎】 温もりと独占欲 R18

6/26 COMIC CITY東京の新刊②情報です。

※通販の方法は、後程アップいたします。

【温もりと独占欲】 2011.6.26/A5/P52/オフ/102g/¥500

*表紙*
nukumori_hyoshi.jpg


▼プレビュー


【温もりと独占欲】冒頭より




「ハァ……ハァ……」
「何で……何でいつもアナタは、こうして僕に厄介事ばかり持ち込んでくるんだ……」
 光がほとんど存在しない、暗がりの中。
 周囲を取り囲むのは、硬く冷たいゴツゴツした岩や石壁と、ジメ付いた粘土質の土。
 身震いしてしまうほどの冷え切った空気の中、バーナビーは額に汗を滲ませ苦しんでいる虎徹の躰を、背後から抱え込むようにして自分に凭れ掛けさせ、震えの止まらないその躰を終始摩ってやっていた。
 右太腿に深い傷を負い、急激に上昇した熱に魘され、苦しげに呼吸を繰り返す虎徹。
その姿に、バーナビーは八つ当たりでもするように苛立ち露わな声をあげる。
 それどころではないこの人には、もちろん聞こえていないだろう。
 こんな悪態を吐くのは、一体これで何度目になるのだろう。
 ふと、そんなくだらないことを思ったけれど、数えていないのだから、わかるハズもない。
 虎徹の負傷した右足は、すぐに対処し止血はしたものの、結構な血が流れていた。
 熱があからさまに上がってしまったのは、この怪我の所為なのだろう。
 早くちゃんとした病院に連れて行き治療しなければ、命に関わるかもしれないほどの傷だ。
 けれど、今二人は閉じ込められていた。
 洞窟の中に。
 普通の生活を送っていれば、無縁であるはずの場所である。
 そして、最悪なことに入り口は分厚い土砂で見事に塞がれているのだ。
 まさしく、閉じこめられてしまった。
しかもそれは虎徹を、そして自身を守るために、バーナビー自らの手で引き起こした土砂崩れだった。



 何故、虎徹はこんな致命傷を追い、二人は洞窟に閉じ込められたのか……。
 事の発端は、五日ほど前。
 事務所の上司による、バーナビー贔屓の提案からだった。





   *





「え……僕のデビュー歓迎会……ですか?」
「えェ、そうです」
「歓迎会……とは言っても……僕がデビューしてから、もう二か月近くは経っていますよ? すごく今更な感じもするんですが……」
 バーナビーがワイルドタイガーをお姫様抱っこで助けつつ、強盗犯を捕まえるというセンセーショナルなデビューを果たしてから、二ヶ月が経過しようとしている。
 息の合わないオジサン先輩と共にヒーローとしての仕事をなんとかこなし、相棒を差し置いて着実にポイントを重ね始めたという頃である(同じくらい、相棒のお陰でポイントを逃してきた気もするが)。
 事務所の上司ロイズに、虎徹と共に呼び出され、またくだらないイベントショー的な仕事を押しつけられるのだろうと思い、嫌々ならがロイズの目の前に立ったワケだが。
 予想を反する言われた内容に面食らい、バーナビーは思わず聞き返してしまった。
「そうですよ~。何で今更コイツのために、そんなことしなきゃならないんですか」
 虎徹も賛同(?)するように、言葉を被せてくる。こっちは予想範疇内の反応。
 面倒臭さ、十二分の口っぷりだ。
 言い方に問題があるので若干腹が立ったが、いつものことでいい加減慣れてきたし、面倒くさいのは正直バーナビーも一緒なので、あえてツッ込みはしなかったけれど。
「あァ、もちろん。これがもし君だったら、100パーセント歓迎会などやらないけどね、虎徹君」
「え〜っと……1パーセントの可能性も、ないんですかね?」
「残念ながら、ない」
「はァ……これまた介入の余地なしの、キッパリっぷりなことで……」
 いつも虎徹には厳しいロイズの容赦ない言葉に、隣りでガックリと肩を落とすオジサン先輩。
「オジサンのことは今は置いといて、何で本当に今更なんですか? MVP発表の時に、マーベリックさんが直々にテレビで紹介してくれましたし、その後のパーティーでも良くしてもらいましたし……それで十分な気がするんですが……」
「コレの話ね、ウチだけではなくヒーローTV LIVEとの共同企画なんだよ」
「テレビ局?」
 続けられた社長の言葉に、バーナビーは首を傾げ言葉を復唱する。
 一聴、珍しいなと思いかけて、よくよく考えるとあの貪欲な女性敏腕プロデューサーなら、十分にありえそうな話だと思い改める。
 高視聴率の匂いがすれば、逃しはしないタイプだ。
 案の定、
「以前、君のプライベート映像を企画して撮影したでしょ。あの放送が、予想を遥かに越えた大反響だったらしくてね」
「……はァ……」
「素顔をオープンにしてのセンセーショナルなデビュー以来、君の人気は鰻登り。今や、世間はバーナビー・ブルックスJrの素性を少しでも多く知りたがっている。好奇心の目は、すべて君に注がれているんだよ。よって、ウチとしてもテレビ局としても、君を一番押し出していきたいという、利害一致した企画というワケだよ。この間の映像で、偶然居合わせた爆弾騒ぎの爆弾を処理したのも、効果が絶大だったらしい」
「……はァ……」
「それなら、俺も活躍したじゃないですか。ってことは、俺の人気も少しは……」
「変わらないよ。これっぽっちもね、虎徹君。君は、バーナビー君のオマケだよ」
「……はァ……」
「…………」
 少し期待を持ってキラキラ輝いた虎徹の目が、一瞬にしてどよんと曇り、先ほど以上にガッカリ肩を落とす。
 ここまで徹底的に突き落とされると、さすがのバーナビーも虎徹が気の毒に思えてしまった。
 てゆか、見ていてあまりにわかりやすい性格である。
 あからさまに喜んだり、ガッカリしたり、怒ったり……言ってしまえば、子供だ。
 こんなだから、悪気もなく破壊工作ができるのだろうか、なんて真剣に思ってしまった。
「今、君のことを話してるんじゃないんだよ、虎徹君。話しが前に進まないから、少し黙っててくれるかい」
「……じゃあ、なんで俺を呼んだんだ……」
 ボソッと呟かれた悪態が、どうやら虎徹の精一杯の反抗のようだった。
 こんなところもやっぱり子供だ。
「君も呼んだのは、バーナビー君の相棒だからだよ」
「は?」
「バーナビー君、別に大それた歓迎会をしようとしているワケじゃないんだよ」
「え?」
 はァ、は? え? などなど、先ほどから二人の口から漏れ出す第一声が、面白いまでに一文字だ。
 三人のやり取りは、周囲から見ていたらコントに近いものがあるかもしれない。
 まァ虎徹が加わった時点で、真面目とはかけ離れてしまうのも目に見えているのだが。
 ロイズの言いたいことは、こんな感じである。
「他のヒーロー達も呼んで、ちょっとした旅行を踏まえて、みんなでバーナビー君を歓迎しようということなんだ。旅行イコール、ロケってことなんだけどね。君と先輩ヒーロー達との親睦を深めようという狙いも、ある」
「親…睦……」
 ロイズの説明に、バーナビーは軽く目眩を覚えた。
 はっきり言って、バーナビーにはどうでも良い話である。
 他人と干渉を持つつもりが全くないバーナビーにとって、団体行動など面倒臭いことこの上ない。
 ぶっちゃけて、同じ能力だからと言うだけで、この面倒臭い男とコンビを組まされてしまい、虎徹ひとりで既にイイ迷惑していたというのに。
 虎徹だけではなく、何故かヒーロー全員一人一人が個性が強いというか、一癖二癖あるというか……ともかくバーナビー的には、あまり関わりを持ちたくない連中の集まりなのだ。
 虎徹だけでも手に余ると言うのに、そんな集団と一日を共にするのかと考えただけで、頭が痛くなってくる。
 なので、
「他のヒーロー達なら、それこそ以前のテレビ取材で、コメントをもらっていたじゃないですか。僕はそれだけで十分なんですが……僕のためにそんなことまでしてもらっても、みんなに迷惑な気がして……」
「そうですよ、なんでこいつのために、俺達まで犠牲にならなきゃならないんですか」
 そこはかとなく断りを入れれば、虎徹が上手いタイミングで被せてきたではないか。
 やはり言い方が軽いのでイラッとするが、この際それはヨシとして、今はこの状況をいかに打開するかである。
 しかし……。
「世間が求めているのは、君とヒーロー達がプライベートモードでコミュニケートする姿なんだよ。君とスカイハイがクロストークしたり、ブルーローズと何か一緒にセッションしてみたり……そんな姿を求めている……というのが、プロデューサーの話だ。逆に言えば、虎徹君との絡みは見飽きた、と言い替えられるかもしれないですけどね」
「……じゃあ、コンビ解消しても良いんじゃ……」
「それに他のヒーロー達のことは、心配しなくてもまったく平気だよ。みんな、軽く息抜きが出来るってノリノリのようだからね」
「無視かいっ」
「……息抜き……ですか……」
 一人コントの虎徹は放っておいて。
 自分の意思は、どう足掻いても通用しそうにないことを、バーナビーは悟ってしまった。
「犯罪が絶えないこのご時世に、ヒーロー達は無休状態で働き詰め。スパの一つもロクにいけない状態では、ストレスも溜まる一方だ……とね、仕事から離れられるのならと、みんなこの企画に賛成らしい。申し訳ないが、君には既に断る権限はないということだよ、バーナビー君」
 トドメの一発、というところか。
 ようは会社の金儲けのためであり、テレビ局の視聴率アップのためであり、みんなのストレス発散のため、ということになるのだろう。
 誰も、バーナビーのヒーローデビューを心から祝おうという気はないらしい。
 ここまでくると、ある意味唯一の仲間は、隣のオジサン先輩だけなのかもしれない。
 まァ、下手に気を使われるくらいなら、この方がよほども気持ちが楽である。
 一日二日、我慢すれば良いだけのこと。【営業スマイル】は、得意中の得意である。
「わかりました。職場の上司にそこまで言われてしまっては、断りようにも断れませんから。ただ、僕に出来ることにも限度がありますので……」
「おや……君に出来ないことはないと思っていた私の目は、節穴だったということなのかな?」
「……負けました」
 ハァと小さくため息を漏らし、乗り気ではないけれど仕方なく行くんですから、的な匂いを多分に孕ませたつもりだったのに……自分よりも倍以上長く生きている人生の先輩は、一枚も二枚も上手だったようだ。
 あんな風に、持ち上げるような揚げ足の取られ方をされてしまっては、バーナビーにだって返す言葉が一つも見あたらなくなってしまう。
 頷くより、他に選択肢はない。
 そして、自分より一回り近く長く生きている先輩の方と言えば……。
「え~っと……僕は別に息抜きは必要なさそうなので、参加しなくてもよろしいでしょうか?」
「君も行くに決まってるでしょう、虎徹君。他のヒーロー達が参加して、肝心の相棒がいないなんてことが、あり得ますか。欠席したら、減給にするよ」
「ハイ、スミマセン」
 あくまで参加したくないらしい虎徹に、今度は心の中で盛大なため息。
 でも、少なからずの同情は覚えてしまう。
 たしかに、新しいヒーローのデビューでテレビ局はバーナビーを大々的に捉えたが、アイドル的扱いを受けることは覚悟の上だったし、テレビや雑誌で【顔を売る】のは都合が良いいので、メディアには好きなようにさせているけれど。
 そこへ、相棒というだけで道連れ状態、無理やり付き合わされる虎徹にとっては、一溜まりもないだろう。
【アナタは、メインディッシュの添え物】
 精神的にタフでなければ、結構続けていけないかもしれないと思い改める。
 そう考えると、子供をそのまま大人にしたように見える虎徹でも、人生をしっかり経験してきている大人なのかもしれないと、ふとバーナビーは思ってしまった。
「じゃあ、収録は二週間後になるから、二人ともよろしく」
「ハイ」
「ハーイ」
「虎徹君、返事は短く」
「ハイっ。わかりましたっ」



 そんなワケで、バーナビーの歓迎会と称したヒーロー達の小旅行が、二週間後、決行されたのだった。



*続きは本文で…*

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