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【兎虎、空虎】エアドール5[完]

お待たせしました;;; エアドールの5になります。完結です><






    *





「虎徹さん……ど…どうしたんですか?」
 いるべきハズのない存在が目の前に現れた現実に、バーナビーは信じられないものでも見るように、眼鏡の奥の瞳を何度もしばたかせた。
 虎徹はポリポリと顎髭を掻いて、
「俺が……気持ちフラフラさせてたの、ご主人さまが気付いちまって……新しい彼氏、作っちまってた。ちょっと、ビックリだったよ」
 へらりと苦笑いを浮かべてみせる。
「そんな……ひどい……」
「いや、違うんだっ! あの人は悪くねェよ」
 一聴、虎徹が持ち主にフラれて捨てられたように聞こえるだろう。
 けれど決してそうではないから、キースの名誉を守るために虎徹は慌てて否定した。
「俺が、全部悪いんだ……あの人は、俺のためにしてくれたんだよ。俺がいつまでも迷っていたから、答えを見つけられるように……」
「答え……って……?」
 虎徹が言わんとしていることを感じ取りながらも、それを信じて良いものなのか、戸惑っているのだろう。
 伺うように眉間にシワを寄せながら、半信半疑に問いかけてくるバーナビー。
 フラフラと揺れ動く自分の所為で、もう誰も傷つけたくない。
 強く思い、虎徹は自分の本当の気持ちを初めて口にするのだった。
「あの人に……『好きな人がいるんだね』って言われた。俺は、ずっと迷ってたんだ。自分の気持ちに……でも、もう迷わねェよ」
 虎徹は一度言葉を飲み込むと、まっすぐとバーナビーの目を見つめ、言葉を紡ぐ。
 自分の気持ちが、ちゃんと相手に伝わるように……。
「なァ、バニーちゃん……俺、人形だから、独りじゃダメなんだ……俺のこと、面倒みてくれないかな……?」
「っ……」

「好きだよ、バニーちゃん―――」

「虎徹さん……本当ですか? 僕……夢見てるワケじゃないですよね?」
 虎徹の告白に、バーナビーの瞳が見る間に水の膜が張られる。
 それを零すまいと、必死に耐えているのがわかった。
 けれど、それは叶わなかったようで、バーナビーの頬に雫が一つ、また一つと零れ落ちていく。
 今まで虎徹が感じていた、何かが溢れ出しそうなのに溢れ出さない【何か】は、やはりこの【涙】なのだとようやく知ることができた。
 虎徹の体内には【水】になるものが存在しないから、溢れ出すことが出来なかったことも……。
 虎徹は、バーナビーの頬を濡らす涙を見つめ、ふわりと表情を綻ばせた。
「綺麗だな、それ……涙……?」
「え……止めてください。恥ずかしい」
 慌ててバーナビーは涙を拭うけれど、どうして恥ずかしいと思うのか、不思議だった。
 拭われてしまい、もったいないと思う。
「バニーちゃん。俺、バニーちゃんと一緒にいても、良いのかな?」
「当たり前じゃないですかっ。僕が、どれだけこうなることを望んでいたと思いますか? 願うはずがない望みが、叶ってしまったんですから……僕は、ずっと虎徹さんと一緒にいたいです。どんなことがあろうとも……僕は、あなたを心から愛していますから……」
 愛してる。
 その言葉がバーナビーの口から聞ける、幸福感。
 そして、次第にイキ苦しくなる胸の鼓動……。
「……良かった……これからは、ずっと一緒なんだよな……バニーちゃん、年越し迎えたいって言ってたけど……間に合ったよな?」
「え……」
  虎徹に言われ、バーナビーは掛け時計に目を向ける。
 23:50を過ぎたところ。
「そうですね。間に合わせてくれたんですか? 嬉しいです。本当に……」
 バーナビーは笑みを浮かべて虎徹を手招いた。
 本当に嬉しそうな笑みを浮かべているバーナビーが虎徹には嬉しくて、呼ばれるままにカウンターの中に入り、バーナビーの傍まで歩み寄る。
 バーナビーは虎徹と向き合うと、虎徹の腰に両腕を回し、くいと引き寄せた。
「カラオケ店で年越しって、色気がなくて本当に申し訳ありませんが……あなたとこうすることが出来るだけで、僕は本当に幸せです」
 そう言って、そのまま顔を近付け、耳元に唇を寄せる。
「本当は……このままお店を放り出して、あなたを誰もいないところへ攫ってしまいたいのですが、そうもできないので……少しだけ我慢してくれますか? 虎徹さん……」
「っ……それは、こっちのセリフだっ」
 耳元に直接吹き込まれる甘い嘯きに、虎徹はゾクゾクと背筋を震え上がらせた。
 タチが悪いと思った。
 エアドールを、こんなにその気にさせてしまうだなんて……。
 女の子がこんな風に誘われたら、みんなその気になってしまうだろうと、虎徹すら思えてしまうのだから……。
 その時、入り口の自動ドアが開き、虎徹はビクリとカラダを跳ね上げたのだが、咄嗟に離れたバーナビーは何事もなかったかのように『いらっしゃいませ』と笑顔で答えると、接客を始めるのだから、虎徹は目を疑ってしまった。
(こいつ……超怖ェ)
 と、本気に思った虎徹であった。



 そして、カウンターでこっそりとカウントダウンをし、夜があけた頃店を閉めると、二人はバーナビーの車で【誰もいない場所】へと向かったのだった。




   *





「あの、虎徹さん……僕、やってみたかったことがあるんです」
「ん……なに?」
 始めてバーナビーの家にきて、二人は示し合わせたように唇を合わせ、舌を絡ませ合いながら服を脱がし合い、そしてベッドへとなだれ込んだ。
 初めて舌を絡ませる接吻けをして、胸の辺りは何故かドキドキして、虎徹はひどく戸惑った。
 キスでこんな気持ちになるのは初めてだったから……。
 そして互いに一糸纏わぬ姿となり向かいあったとき、バーナビーが訪ねてきたのだ。
 首を傾げて見せた虎徹に、バーナビーは一度躊躇ったように俯くと、意を決して虎徹の瞳をまっすぐと見つめ、そして告白をする。
「あなたの空気を、抜いてみたいです」
「……?」
 一瞬、何を言われたのかすぐに理解できなかった。
 だって、虎徹に取って【空気】は、【命】だから。
 虎徹の動揺を感じ取ったのだろう。
 バーナビーは慌てて言葉を続ける。
「大丈夫ですっ。必ずすぐに僕が、空気を入れ直しますから……僕の優越感だけなのかもしれないですが……その行為で、あなたが本当に僕のモノになってくれる気がして……」
「…………」
 なんとなく、バーナビーの気持ちがわかるような気がした。
 それはやはり、虎徹の【命】を握る行為だから……。
 もともと、バーナビーに見捨てられたら、自らの手で空気を抜こうと思っていたのだ。
 悩む理由など、どこにもない。
「バニーちゃん……」
 虎徹はバーナビーの手を取ると、臍の吹き出し口に触れさせた。
「虎徹さん……?」
「良いよ、抜いても……俺はもう、バニーちゃんのモノだから……バニーちゃんの好きにして、構わない」
「っ……」
 そう応えた虎徹に、バーナビーの表情がグッと歪む。
 嬉しそうな、それでいて苦しそうな表情。
 虎徹はバーナビーの頬を両手で包み込み、口元を綻ばせる。
「なんで、そんな顔するんだ?」
 訪ねれば一瞬目を見開いて、今度は困ったように笑みを浮かべるバーナビー。
「本当に、あなたが僕のモノになったんだって思ったら……嬉しくて、嬉しすぎて、どうにかなってしまいそうです。あなたは外の世界が知りたくて、意志を持ち、以前の主人の家から飛び出した。心を持つあなたはきっと束縛されることを望んではいないとわかっていても……あなたを、僕だけのモノにして閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくないと思ってしまう……あなたが、愛しくて、仕方がないんです……」
「バニーちゃん……」
 バーナビーの強い感情が、直接流れ込んでくるようだ。
 バーナビーに感情をまっすぐぶつけられるたびに、カラダが熱く感じ、胸が苦しくなる。

 人間って、こんなに大変な感情をいつも抱えて、生きているんだな―――

 そんな自分を実感できる今が、虎徹はとても嬉しい。
 何故か、この人に閉じこめられても構わないと思える自分が存在している。
 たしかに、感情を持ったことで、外のことを知ってみたいと冒険してみたけれど、外のことは十分に楽しんだ。
 それに、今思えば虎徹にとってこの冒険は、すべてバーナビーありきだったから……。
「抜いて……バニーちゃん……」
「っ……じゃあ、抜きますよ。虎徹さん……」
 虎徹の言葉に、妖しく瞳を光らせたバーナビーは吹き出し口を引っ張り出すと、ゆっくりと蓋を外し、弁を広げるために吹き出し口を摘んだ。
「っ……」
 刹那、シューッと勢い良く空気が抜けていき、虎徹のカラダが脱力し、徐々にしぼんでいく。
 カラダの空気が抜けると、思考も曖昧になっていき、ぼんやりとしてくる。
 空気が1/3ほど抜け、脚に力が入らなくなった頃、バーナビーが吹き出し口に口を付け、空気を吹き込んでいく。
 シューッ、シューッとゆっくり入り込んでくる空気。
「っ……はっ、んっ……」
 すべて入りきる前に、バーナビーは口を離し、再び空気が抜けていく。
「ぁっ……」
 そして、再び空気を送りこまれ……。
「ぁっ、ぁっ……」
 何度も何度も、繰り返される行為。
 虎徹の口からは、今まで一度も出したことがない甘い声が、絶えずこぼれ落ちていた。
 バーナビーの熱い息を送り込まれているから、なおさらなのかも知れないが、カラダが熱くて熱くて、仕方がなかった。
 全身が熱くて、性器の部分がふわふわと心地よく、後ろの場所が疼いて堪らない感じ。
 空気が入り込んでくるとともに、熱い吐息をこぼしながら、ヒクン、ヒクンとカラダを跳ね上げる虎徹に、バーナビーも気付いてしまったらしい。
「虎徹さん……もしかして、感じてるんですか?」
「感、じてる……?」
「気持ち良いですか?」
 感じてるという表現が曖昧だったから一度訪ね返したけれど、言い直された言葉は理解できたので、素直にコクリと頷いた。
 早く、バーナビーと繋がりたい。
 今バーナビーを受け入れて繋がったら、バーナビーと一緒にすごく気持ちよくなれる気がしたから……。
「バニー、ちゃん……使い古しの俺でも良かったら、繋がってくれるか?」
 虎徹にとっては純粋に思った言葉だったけれど、どうやらバーナビーはそうではなかったらしい。
「虎徹さん。使い古しだとか、自分を卑下るのは止めてください。いい加減、怒りますよ? あなたが、人のエアドールだったとかなんて、僕には関係ない。僕は、虎徹さんそのものが欲しいんです」
「……バニーちゃん……」
 まっすぐと向けられた瞳が、あまりにも真剣で、本気に怒っているのが伝わる。
 怒っているのに、何故か虎徹はそれが嬉しくて……。
「ゴメンな。もう言わない……俺、本当にバニーちゃんのモノになりたいんだ……」
 やはり、虎徹にとってはありのままの想い。
 けれどバーナビーは先ほどと打って変わり、至極複雑そうな表情を浮かべて……。
「僕も……あなたを僕のモノにしたいって言ってしまうけれど、でもなんだかあなたの口からはその言葉を聞くのは辛いです」
「……え?」
 眉間にシワを寄せ苦笑するバーナビーの意図が全然わからず、虎徹は途端に不安になってへにょりと眉尻を下げる。
 虎徹にはバーナビーの難しい感情をすぐに理解することが出来ないけれど、バーナビーは虎徹の考えていることがすぐにわかってしまうらしい。
「すみません、あなたを否定してるワケじゃありません。むしろ、その逆で……あなたが自分を『モノ』っていうと、あなたがエアドールだということを突きつけられるような気持ちになるんです。僕は、あなたを人形ではなく、人間と何一つ変わらない同じ存在だって思いたいんです」
「……バニーちゃん……」
「正直にいうと、感情を持ったエアドールがどのくらい【生きて】いけるのか……実証はされていません。僕は歳をとり、あなたは歳をとならい。それでもいずれ、その【命】は燃え尽きてしまうでしょう。僕があなたの今の年齢を越えるのが先か、あなたが動かなくなってしまうのが先か……誰も知ることは出来ませんが、それでも僕は、あなたをひとりの人間として、愛し続けていきたいんです―――」



 二人は、新しく年を迎えたその日、初めてカラダを繋げた。
 バーナビーの感情を受け止めながら、バーナビーの熱を感じながら……。
 虎徹は初めて自分をさらけ出し、嬌声を漏らしながら、バーナビーと共に快感に埋もれた。
 声を上げ、自らも動くことがこんなにも気持ちよくなれることに、虎徹は初めて気付く。
 もしあの人の前でもこんな風に自分をさらけ出すことが出来ていたならば、一緒に気持ちよくなれたのだろうか……と、キースの顔が一瞬浮かんだけれど、今は考えちゃいけないことだと虎徹にだってわかっていたから、考えるのは止めた。
 ただただ、何度も虎徹の名を呼びながら気持ちよさそうに表情を歪めるバーナビーを見ているのが、嬉しくて仕方がない。
 それだけで虎徹もカラダが強くバーナビーを求めてしまうから……。
 バーナビーの精を体内に受け入れた時、虎徹は強く震えあがった。
 カラダが絶頂を迎えたのかは、正直わからないけれど、気持ちがイったのだと虎徹は思った。
 心がとても満たされて……虎徹はバーナビーの背に腕を回し、その唇にそっと自分の唇を押し当てた。





 数日後。



 バーナビーが帰ってくると、何故かケーキの箱を持っていて。
「それ……どうかしたのか? なんか、あるのか?」
 訪ねる虎徹に、バーナビーは笑みを浮かべながら、逆の手に持っていたシャンパンを差し出す。
「実は、エアドールの製造日はすべて記録されているので、虎徹さんの製造日を調べてみたんです。購入履歴をたどると、自ずと見えてくるので……顧客リストを見るのは、本当はやってはいけないことなんですが……どうしても虎徹さんの製造日が知りたくて……」
「製造……日?」
「誕生日ですよ。虎徹さん、いつか二人でレストランに食べに行ったとき、気にしてましたから……」
「誕生日……」
「あなたのような、受け身でありながら大型の男性を作ることは本当にまれのようで、特に【あなた】は一体しか存在しなかったので、すぐにわかりました。その誕生日が今日だったことは、昨年から既に判明していたので、どうしてもお祝いしてあげたかった。だから……お祝いすることが出来て、本当に嬉しいです」
 そういって、ホールのケーキを箱から出し、ロウソクを立てていくバーナビー。
 中央のチョコには、
 happy birthday!! KOTETSU
 と書いてあって……。
 自分に出来た、誕生日。
 密かに憧れていた、誕生日。
 それを、バーナビーは気づいて、こうしてケーキを準備をしてくれた。
「……バニーちゃん……」
 胸が、苦しい。
 嬉しくて、嬉しくて。
 こみ上げる感情が、あふれ出しそうになる。
「ありがとう……ホントに、ありがと……バニーちゃん……」
 その瞬間、虎徹の瞳から一滴の涙が溢れ出し、静かに頬を濡らし、虎徹は自分の頬に触れた。
「ハッピーバースデイ、虎徹さん。来年も、その次の年も、一緒にお祝いしましょう。僕、毎年ケーキ買いますよ」
 ロウソクに火を付けたケーキを目の前に差し出し、綺麗に微笑むバーナビーに、虎徹はフッとロウソクの火を消すと、くしゃくしゃの顔で満面の笑みを浮かべ、自分の気持ちを伝えるのだった。



「俺も、毎年毎年、バニーちゃんに祝ってもらいたい……ありがとな……大好きだよ、バーナビー―――」



*終*







最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

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Author:眼鏡帽子屋*くー
こちらはT&B 兎虎、右虎徹小説メイン、同人情報サイトです。腐向けですので、苦手な方男性の方18歳未満の方はご退出くださいませ。なお、関係者とは一切関係ありません。

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