スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【兎虎、鏑木夫妻】僕にとっての11月22日


今日は11月22日、【良い夫婦】の日だということを思いだし、勢い余って書き上げました!!
短いですが、兎虎前提の、私にとって初めての鏑木夫妻です!

と言っても、時間軸は25話後なので、実際に奥方が登場してくるわけではありません^^;





【僕にとっての11月22日】




「虎徹さん、ちょっとこれから付き合ってもらえませんか?」
「あ? 今から? まだ俺たち出勤したばかりだぞ?」
「ロイズさんにはちゃんと断っておきましたから、大丈夫ですよ。さ、行きますよ、虎徹さん!」
「え、あ、おいっ!!」
 戸惑う虎徹の腕を引っ張って、バーナビーは半ば強引にアポロンメディアから虎徹を連れ立ち、愛車を走らせた。
 何度も何度も、しつこいくらい「どこに行くんだ?」と聞いてくる虎徹を適当にはぐらかし、いなしまくるバーナビー。
 颯爽とハイウェイを走り抜け、一向に停まる気配を見せない真っ赤なスポーツカーは、数時間を掛けて遂にシュテルンビルト郊外に出てしまった。
 虎徹が訝し始めたのは、ようやくどこに向かっているのか察することが出来たからだろう。
 今バーナビーは、確実にオリエンタルタウンへ向かっていることに、虎徹は気づいたのだ。
「なァ……なんで、こんなところに来るんだ? オリエンタルタウンになんか用事でもあるのか?」
「あると言えば、ありますね。目的もなくここまで車で来るのはさすがにキツイですから……思ったよりも遠かったな……」
「あたりめェだろっ。俺だって電車使うぞ」
「電車か……僕、乗ったことないんですよね、電車。何だか、ローカル線って素敵ですよね。今度乗ってみたいな」
「それはそれで構わねェんだが、俺は今、ともかくおまえがどこに向かってるのかが知りてェんだけど……」
「すぐにわかりますよ。お楽しみってヤツですね。きっと、あなたが一番行きたい場所だと思いますから」
「はァ? 行きたい場所? 実家か? 意味わかんねェよ、バニーちゃん」
「意味がわからないから、お楽しみなんじゃないですか……」
 そうこう言い合いながら、虎徹にとって見慣れた風景が目の前に広がり、虎徹は遂に黙り込んでしまった。

 少し高台に位置された……そこは、墓地だった。

「バニー……どうして、ここを……」
 バーナビーに一度も教えたことがない場所。
 今も尚、愛して止まない愛し人が眠る場所。
 虎徹が言葉を失ってしまうのは当然だった。
 バーナビーは車を降り、バックドアを開けてあらかじめ用意していた白を基調とした花束を抱えると、車を降りて唖然と墓地を見つめている虎徹の隣りに足をたどった。
「昨日、ブルーローズが『明日は【良い夫婦の日】だから、両親になにかしてあげようと思う』って話をされていたんです」
「良い夫婦?」
「えぇ。日付の語呂合わせのようですが。僕、【良い夫婦】って聞いたとき、両親も思い浮かんだんですが、なぜかあなたと友恵さんの姿が思い浮かんだんです。虎徹さんの部屋に飾ってあった、楓ちゃんと三人で写っている写真……それが、今の虎徹さんと楓ちゃん、そして友恵さんの姿で思い浮かんだ。三人、とても素敵な笑顔を浮かべていました」
「……バニー……」
「そうしたらね、無性に友恵さんに逢いたくなったんです。あなたと友恵さんが一緒にいる姿を見たくて……」
「おまえ……」
「さ、いつまでもこんなところで突っ立ってないで、行きましょう、虎徹さん」
 何かを堪えるようにくしゃりと顔を歪める虎徹に曇りのない笑顔を浮かべ、バーナビーは虎徹の背中を押した。
「さすがに墓石の場所まではわからないので、虎徹さんが案内してください」
「……あ、うん……」
 戸惑いを隠せないでいる虎徹の背中に手を添えたまま、虎徹の歩幅に合わせ、進んでいく。
「どうして……ここがわかった?」
「昨日、楓ちゃんに聞きました。お参りに行きたいと伝えたら、楓ちゃん喜んでくれて……楓ちゃん、言ってましたよ?」

『物心がついたころからお母さんは入院していて、おばあちゃんのところにいたから、私お母さんの記憶はほとんどないの。でも、お母さんのこと大好きよ。だって、お父さんがいつまでも大好きなお母さんだもの!!』

「って……なんだか、僕まで嬉しくなってしまいました……って、虎徹さん……まだ、泣くのは早いですよ?」
「っ……泣いて、ねェよ……っ」
「いつから、泣き虫になったんですかね、虎徹さんは……」
「だから、泣いてねェって!!」
 くちゃくちゃに頬を涙で濡らし、子供のように声を荒げる虎徹にバーナビーはクスクスと笑いながら、綺麗にアイロンされたハンカチを差し出した。
 それを奪い取るように乱暴に受け取って、ガシガシと顔を拭う虎徹の姿まで、愛しく感じてしまう。
 家族が大切で、大切で……友恵のためにヒーローを続け、楓のためにヒーローをやめた……それほどまでに家族を愛する虎徹が、バーナビーには愛しくて、仕方がない───
「本当は正装してきたかったんですが、そうすると虎徹さんにバレてしまうから止めたんです。こんな姿でスミマセン」
「それは、気にすることねェよ。おまえ、そんな綺麗な花束まで用意してくれたんだから……あいつ、喜んでくれるぞ」
 そう言って、ようやく虎徹は笑みを浮かべてくれて。

 その笑顔が、今まで見た虎徹の笑顔の中で、一番綺麗な笑顔だったと……バーナビーは思った。

 二人で友恵の眠る墓石に花を添え、手の平を合わせる。
 少しだけ、虎徹の様子をうかがって、今夫婦でどんな会話をしているのだろうかと考えながら……バーナビーも瞼を閉じ、友恵に語りかける。
 そしてゆっくりと目を開けると、虎徹がジッとこちらを見つめているから、驚いてしまった。
「どうかしましたか? 虎徹さん」
「相変わらず、まつ毛長ェなァって思ってよ……」
「は?」
 何かと思えば、突然わけのわからないことを言うものだから、思わず間の抜けた反応をしてしまった。
「ってのは、冗談だけどよ……友恵に、なに話してたのかなって思って……」
 ポリポリと照れ隠しのように顎鬚を掻きながら立ち上った虎徹に、バーナビーは軽く肩を竦めながら立ち上り、
「もちろん、内緒ですよ」
 と、ごまかしてしまう。
「ンだよ、それ」
「あなたこそ、何をお話されてたんですか?」
「内緒に決まってんだろっ!!」
「ま、そう言うとは思いましたが……」
 本当に子供のような反応を返してくる虎徹に、今度は盛大な溜息混じりで肩を竦めたバーナビー。
「虎徹さん……そんなことより、初めましてですから紹介してくれませんか?」
「え……あ、おォ」
 少し呆れながら虎徹を促せば、虎徹はハッとしたように姿勢を正し、バーナビーの肩に手を置いて紹介してくれて。
「友恵……こいつが、俺の新しい【パートナー】のバーナビーだ。よろしく頼むな」
 まっすぐと……迷うことなく紡がれた虎徹の言葉に、バーナビーの胸がジンジンと熱くなり、そして次第につきつきと痛みを伴って……。
 ツンと鼻の奥が痛くなり、込み上げてくるものを必死に我慢したことは、虎徹には内緒である。
「初めまして、友恵さん……これからも、よろしくお願いします」
「って、何をよろしくするんだろうな」
「何って、色々とですよ」
「なんだ、そりゃ。でも、ホントにありがとな、バニー。今度は、バニーの両親のところにもあいさつに行かねェとな」
「そうですね……きっと両親も喜ぶと思います」
 最後にもう一度友恵に挨拶をし、二人は共に歩き出す。

 コンビとして、バディーとして、パートナーとして───



 友恵さん……虎徹さんがあなたと楓ちゃんのヒーローであり続けるために、これからは僕が虎徹さんを必ず守っていきます。
 一年前の僕には、力が余りにもなさ過ぎました。
 虎徹さんをたくさん傷付けてきた僕を、どうか許して下さい。
 僕は、絶対に虎徹さんをあなたと同じくらい幸せにしてみせます。
 だからどうか……虎徹さんと僕を、見守っていてくれますか……?



 ありがとう。バーナビー君───



「…………」
 そんな声が聞こえたような気がして、バーナビーはもう一度振り返り、ふわりと笑みを浮かべながら虎徹が待つ車に乗り込んだのだった。
 


*終*



最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント :

プロフィール

眼鏡帽子屋*くー

Author:眼鏡帽子屋*くー
こちらはT&B 兎虎、右虎徹小説メイン、同人情報サイトです。腐向けですので、苦手な方男性の方18歳未満の方はご退出くださいませ。なお、関係者とは一切関係ありません。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。