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【兎虎小説】ケンカの後の仲直り①

pixivに上げていた兎虎SSですwww







【ケンカの後の仲直り】



 
 ひどく、苛ついていた。

 もうすぐ、犯人を逮捕出来ようかという時、またもやあの人が見事な邪魔をしてチャンスをぶち壊したのだ。
 相棒であるはずの、緑の方に。
 そしてそのチャンスを、キングオブヒーローにかっ攫われてしまったのだ。
 やってられない。
 それはバーナビーの機嫌もマックスで悪くなるわけである。
 只今バーナビーは、今シーズンからヒーローになったとは思えない活躍で、獲得ポイント2位の位置に着けている。
 周囲から見れば大健闘だろうし、事務所からしても『この調子で頑張ってくれ』といったところだろう。
 けれど、バーナビー自身はそれで納得出来るはずがない。
 健闘はしているけれど、やはり1位のスカイハイには及ばない。
 ネクストの能力的にみても、5分間しか能力が持続しないバーナビーは、その短い時間の数少ないチャンスを見極め、モノにしていかければならない。
 スカイハイと比べても圧倒的に不利な中、的確に状況判断し頑張っているというのに、それに拍車を掛けるように相棒が自分勝手な行動で邪魔をするのだから、いい加減どうにかしてほしいって感じである。
 別に、誰かに認められたくて、ヒーローをしているワケではない。
 ヒーローになった一番の目的は、やはり【ウロボロス】だ。
 けれど、もっと単純な話で、やるならば1位でいたいという思いがある。
 完璧主義者であるバーナビーの、プライドといってもいい。
 けれど、そんなバーナビーの強い思いをまったく知ったこっちゃないオジサン先輩は、それは見事なまでにポロポロと人のチャンスを取りこぼしていくのだから、ここまでくると『ワザとやってるんじゃ……』とさえ、思えてきてしまうのだ。
 今なんて、本当に最悪だ。
 後先考えずにハンドレッドパワーを発動させ、やたらめったらと物を壊しまくったあげく、状況を見極めいざバーナビーが犯人を捕まえようという時に、お約束のパワー切れ。
 しかもこの疫病神ときたらパワーが切れたと同時に、あり得ないことに段差に躓き、バーナビーにタックルをかますくらいの勢いで倒れ込んで、後輩を道連れにしたのだ。
 まるで、『コントかよ』とでも言うくらい、それはもう盛大に……。
 実況がテレビ内で盛り立てていた中での惨事。
 あまつさえ、そのあまりにカッコ悪い姿は、ばっちりフレームに収まり、全国に放送されてしまった。
 このオジサンは、ポイントを【奪った】だけには飽きたらず、恥まで曝してくれたことになったというわけだ。
 最近、こういうことが少なくなってきてはいるけれど、どれだけ人に迷惑掛ければ気が済むのだろうと、一体この疑問はいつになれば解消されるのか、見当もつかない。
 この人のおかげで、どれだけポイントを取りこぼしてきたのか、計算するのもウンザリしてくるくらい、むしろ多すぎて忘れてしまったくらいだ。
 身を呈してルナティックの攻撃から守ってくれたこの人に、バーナビーの中で心の大きな変化が現れたのは、バーナビー自身認めている。
 自然と、バーナビーの中に張り巡らせていた警戒心という壁も、なくなっていた。
 そこで急接近した二人は、気付けば……ただならぬ関係になっていて、カラダを重ねるようにまでになり、昔に比べれば随分とマシな関係が築けるようになっている。
 初期の頃に比べれば、こちらに気を掛けてくれているし、ヘマをやらかすことがだいぶ少なくなったことはバーナビーも認めている。
 けれど久々にやってくれたコレばかりは、許し難い失態であり、さすがのバーナビーも久し振りに『コンビを解消したい』と強く思ってしまった一場面だ。
 どうすれば、この気分屋の先輩を更生させることが出来るのか……。
 考えても考えても、浮かんでくるのは、一昔前の人の話は聞かない、自分に平然と迷惑を掛ける、この人の姿ばかり。
 これでは、苛々が募ってくるのも当然だった。
 スカイハイに見せ場を取られた瞬間、怒りが一瞬で沸点に達したバーナビーは、またもやこの人に手を出してしまったのだ。 
「ふざけないでください!」
 前につんのめるような体勢で倒れ込み、その足元で『いった〜』なんて呑気にもがいている虎徹に、バーナビーは思い切り怒鳴り散らして、右足を思い切り振り払った。
「おわっ!」
 足元にいた虎徹の躰は当然反転するように転がり、バーナビーはすかさずその上に馬乗りになって首を押さえつけ、動きを封じてしまう。
「ゲホッ、ゲホッ! な、に……」
「あなた、いい加減どれだけ僕に迷惑掛ければ気がすむんですかっ。最近なくなってきたかと思えば、久々がコレだなんて……もしかして、ワザとですか? もう本気にいい加減にしてくださいよっ」
「ワザとじゃないって……今のは、たしかに……俺が、悪かったよ……スマン」
 首を押さえつけられ、苦しげに呻きながら虎徹は謝ってきたけれど、それだけで怒りが収まるはすまがない。
「あなたのやってることは、謝って赦されるレベルじゃないんですよっ」
「んなこと言ったって……じゃあどうすりゃ……」
「僕の言うとおりのみ、動いてください。でなければ、コンビを解消してもらう……」
「おいおい、無茶言うなよ。出来るわけ、ねェだろ。んなこと……」
 バーナビーの言葉に、まるで失笑でもするように軽く言葉を吐き捨てた虎徹に、更に怒りがこみ上げて、バーナビーは止まらなくなる。
 オープンにしていたマスクの奥で、更に目元を覆っているアイマスクを、強引に引っ剥がして素顔を曝してしまう。
「ちょっ……!」
「どっちが出来ないって意味ですか? 僕の言うことを聞けないこと? コンビ解消すること? そう簡単にコンビなんて解消できるものじゃないって……アナタ、甘く見てませんか? まさか、セックスしてるからって僕が離れていかないとか、高括ってるんじゃないでしょうね……」
「お、おいっ。露骨に言うなよ、そんなことっ」
「は? そんなこと、関係ないですよ。アナタが僕にとってマイナスだと判断すれば、僕はいつだってアナタを捨てても構わないんです。僕が移籍するって言えば、会社はアナタの首を切りますよ。一人でいた方が、よっぽども活躍できます」
「オマエ……何だよ、それ……さっきから黙って聞いていれば、好き勝手に言いやがって……仮にも俺は、オマエの先輩なんだぞ! 普通、そこまで言うか?」
 本当は、ここまでいうつもりはなかった。
 けれど、虎徹がことの重大さにまったく気付いていない気がして、それが腹立たしくて、あんな言い方をしてしまった。
 けれど、さすがの虎徹もひどい言われように、黙っていられなくなってしまったらしい。
 本気にキレているのが、バーナビーにもわかった。
 あそこまで言われまくって、虎徹の反応が普通の人間だろう。
 けれど、自分に対して腹を立てる虎徹の姿そのものに気分を逆なでられ、バーナビーはまた余計なことを口走ってしまって……。
「僕は、アナタのことをヒーローとして、先輩だなんてこれっぽっちも思っていません。現に、コンビでやっているハズなのに、僕とアナタとでは、ポイントが雲泥の差だ。先輩として示せるようなところなんて、一つもないじゃないですか」
「そりゃ……ポイントでいったらそうかも知れねェが……俺は、目上のヤツに対する態度じゃねェってことを、言いたいんだよ」
「フン。アナタでなければ、ちゃんと敬いますよ。アナタなんて、僕の下で―――」
「―――っ!」
「オマエ等はまた、こんなところで何やってんだよ!」
 バーナビーが何かを言いかけたところで、タイミング良くと言うべきか、悪くと言うべきか、ロックバイソンが二人をみつけ、慌てて止めに入ってきた。
 バーナビーが虎徹の上に馬乗りに跨りもみ合っている、只ならない状況。
 いつもの口論など比にならない剣幕さに、ロックバイソンの慌て方も尋常ではない。
 ロックバイソンに抑えられ、ようやくバーナビーは虎徹の躰から離れたけれど、バーナビーは先ほどの勢いが嘘のように、気まずい感じに下を向く。
 今、ひどいことを言おうとした。

『アナタなんて僕の下で足を開いて、女性のように僕を飲み込んでるんですから……』

 バーナビーが何を言おうとしたのか、虎徹も気付いただろう。
 一瞬傷付いたように表情を歪め、そしてそれは見て取れて怒りに染まっていくのがわかった。
 ロックバイソンに肩を掴まれ、虎徹の躰から離された瞬間、虎徹は素早く立ち上がり、こちらに睥睨の視線を送る。
「オマエが俺のことを、どう思ってんのか知らねェが……この俺にだって一端のプライドがあるってことを、忘れるな……」
「っ!!」
 いつになく低い声で一言吐き捨てた虎徹は、踵を返すと、目もくれずにその場から離れていってしまった。
「…………」
 自分でも自覚がある。
 言ってはいけないことを、口走ってしまおうとしたことを。
 だからこそ、虎徹の言葉は鈍器で殴られたみたいに、バーナビーに痛みを与えた。
 また、虎徹の目が、至極憐れんだようにこちらを見ていたから……。
 一瞬で、目が冴えた。
 後悔の念が、強く生まれたことも……。
「オイオイ……オマエ達、一体何があったんだよ……最近は、結構仲良くしていたと思ってたのによ……虎徹があんな風になるのも、そうあることじゃねェぞ……」
 いつ誰に見られるかわからない状態でマスクを外し、心配そうに顔を覗き込んでくるロックバイソン。
 ロックバイソンが、心配するのも無理はない。
 虎徹の高校生時代からの旧知の親友であることはもちろん、意外とこの人が面倒見が良い兄貴肌であることもバーナビーは知っている。
 二人の関係がどこまで進んでいるのか、知っているワケではないと思うけれど、それでも二人の行く末を見守っていることはわかっている。
 そんなロックバイソンに迷惑を掛けたことに、すごく申し訳ない気持ちがこみ上げたが、正直感謝の思いも生まれる。
 ロックバイソンがこなければ、バーナビーは勢いに任せて確実にあの続きを口走っていただろうから……。
 確実に、虎徹を傷つけていただろう。
 いや……いただろう、なんかではない。
 バーナビーが何を言おうとしていたのか虎徹が気付いていた時点で、既に彼を最低な言葉で傷付けているのだ。
 もしかしたら、あの人はもう……自分のことを見捨ててしまうかもしれない。
 そう思った時、何故かバーナビーの胸に、ズキンとひどい痛みが伴った。

 そんなのは、イヤだ―――

「また、虎徹が何かをやらかしたのか?」
「!」
 どれだけ考え込んでいたのか。
 ロックバイソンの声に、バーナビーはハッと我に返り、ロックバイソンを見やる。
 至極、困ったような表情。
 バーナビーは小さく首を横に振り、再び視線を逸らす。
「彼が少し、僕の足を引っ張って……でも、それで僕が言い過ぎてしまったんです。今のは、僕の責任です。スママセン、ロックバイソンさんにまで、ご迷惑を掛けてしまって……」
「そう……なのか? 俺のことは、別に構わねェんだが……」
 バーナビーの反応が、意外だったのかもしれない。
 驚いたような表情を浮かべ謙遜するロックバイソンが、続けてバーナビーを気遣ってくれる。
「大丈夫なのか? なんなら、俺がアイツのとこにいって……」
「いえ、大丈夫です。こういうことは、人に頼むべきことではないですし、僕自身にケジメがつきませんから……」
「そうか? なら良いんだが……アイツは、ちゃんと話せばわかるヤツだから、自分が悪かったって思えるのなら、しっかり謝れよ?」
「……はい。ありがとうございます」
 最後まで、気遣ってくれるロックバイソンに、少し報われた気がした。
 彼は、自分にちゃんと謝っていた。
 けれど自分は、それでは赦されないと突き放し、更にひどいことを言ってしまった。
 ロックバイソンの言うとおり、ちゃんと謝ろうと思った。
 けれど。

 虎徹が赦してくれるのか……自信がなかった。







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